メディカルセミナーズ blog

高齢者看護&介護について、東京・大阪・愛知・福岡で看護師向けのセミナーを開催しているメディカルセミナーズです。褥瘡・胃瘻・認知症・フットケア・創傷管理・口腔ケア・ストーマなど各テーマのセミナーの情報や、参加者の感想などを紹介しています。

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林炎子先生の「認知症の認識を知ろう」

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(写真:林もえこ先生)

みなさんこんにちは!

認知症介護歴28年の
看護師 林もえこです。


突然ですが、
皆さんパズルって
やったことありますか?

ちょっと前の話に
なりますけど、
母の日にパズルを
プレゼントしました。

というのも、うちの母は
パズルが大好きで、
1000ピースのパズルを
何ヶ月かかけて
完成させるのです。

なので、
青の洞窟のパズルを
プレゼントしました。

きっと今頃
せっせとパズルを
やっているところでしょう。

ところで、
1000ピースのパズルですが
完成させるためのコツは
なんだと思いますか?

ある実験で
AグループとBグループに分けて
パズルを作ったもらったところ、
完成までの時間に
大きく差が出たそうです。

何をしたのでしょう?

Aグループには
パズルの完成図を見せて

Bグループには
完成図を見せなかった。

たったこれだけで、
パズルの完成時間が
大幅に変わったのです。


完成の形、ゴールが
イメージできたか、
できなかったか、なのです。

実は、人は
イメージできないことを考えたり、
想像したりすることは
難しいのです。

だから、相手が
イメージできる言葉で
話すことは必要ですよね。

以前、看護師として
病院で働いていた時に
認知症患者さんが
入院してきました。

その患者さんは、
病気の急性期で、
体が辛いのと、
環境の変化とで、
不穏になりました。

点滴の自己抜去なども
考えられます。

「家に帰して!!」
「なんで私はここにいるの?」

そういった場合、
大抵、家族の付き添いを
お願いしますよね。

この時も、家族に付き添って
もらうことにしました。

家族が来て、
付き添ってもらうわけですが、
どんな説明をしたらいいでしょう?

A「点滴を抜かないように
付き添っていてください」

B「パニックになって、
点滴を抜いてしまうこともあるので、
点滴が終わるまで、
点滴をしていない方の手を
握っていて下さい。」

「そばを離れる時は、離れる前に
ナースコールで呼んで下さい」

どちらがいいのかといえば、
Bの方ですよね?

なぜならば、付き添って
何をすればいいのかが
具体的にイメージできるように
説明をしているからです。

私たち専門職は、何人もの人を
見てきているので、
こういう場合は
こうした方がいい
という知識を
いっぱい持っています。

また、介護や対応方法の
イメージもつきます。

しかし、
認知症患者さんの家族は、
初めて、もしくは
経験が少ないので
介護方法のイメージが
できないのです。

だから、
どうしたらいいのか、
どうして欲しいのかを、具体的に
相手がイメージできる言葉で
伝えるといいですよね。

そうすることで、
私たち看護師と家族の間に
共通認識が生まれます。

それだけではなく、
最終的なゴール
(前の例で言ったら自己抜去しないで
点滴を落としきること)
を共有することで
家族も何をすればいいのかがわかり、
病院や施設に
協力しやすくなるのです。

目的やゴールがわからないと、
自分には何ができて、
何をすべきなのか
わからないですものね。

目的や、ゴール、方法を
具体的にイメージできるように
伝えることで
お互いにやりやすくなるのです。

行動を導くことで、
信頼関係も生まれます。

これは、認知症患者さんの
家族だけではなく、誰にでも
使えるテクニックです。

ぜひご活用ください。

今日もお読みいただいて
ありがとうございました。


林 もえこ



◆ 林 炎子 (はやし もえこ)
プロフィール

看護師。1975年生まれ。

11歳のときに両親が民間福祉施設
(デイサービス・入居サービス)を開設後、
幼児、障碍児、障害者、高齢者、
認知症高齢者と生活を共にし、
28年間で70名以上の認知症の方の、
初期から寝たきりになるまで深く関わる。

また、看護師としても、
都立病院などで
10年以上の勤務を経験した後、
2011年 地域での認知症高齢者と
家族のサポートをするため、
心理学、ヒプノセラピー、
NLP、医療・看護など、
多くの学びから得た
エッセンスを活用しながら
認知症に特化した
デイサービスを開設。

28年間実践し続けてきた
独自の介護メソッドを分析し、
認知症とその家族のための
ケアを開発、提供している。



<編集部より>

毎週火曜日に、林先生の
認知症をテーマにした内容を
お届けしてきましたが、

8月からは、
月に一回のペースで
引き続き、
林先生の【認知症講座】
としてお届けします。

お楽しみに。



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