メディカルセミナーズ blog

高齢者看護&介護について、東京・大阪・愛知・福岡で看護師向けのセミナーを開催しているメディカルセミナーズです。褥瘡・胃瘻・認知症・フットケア・創傷管理・口腔ケア・ストーマなど各テーマのセミナーの情報や、参加者の感想などを紹介しています。

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林炎子先生の「認知症の認識を知ろう」

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(写真:林もえこ先生)

みなさんこんにちは!

認知症介護歴28年の
看護師 林もえこです。


「なるべく薬に頼らずに」
「ケアで症状は良くなります」

こういうセリフって
認知症ケアをする上で
良く聞きますよね。

これが間違っている
としたらどうでしょう?

いやいや林さん、
28年も認知症患者さんと
関わってきて、
薬で症状をどうにか
しようというの?

そう思われるかもしれません。

しかし、28年間
認知症ケアに
携わってきたからこそ
ケアだけでは
認知症患者さんのQOLを
あげられないことが
あることを知りました。

もちろん、
良質のケアを提供することは
大前提です。

それだけではなく、
認知症患者さんの
QOLをあげるために
適切に薬を使いましょう
という話です。

例えば暴力がある場合、
認知症の原因疾患が
何であるかによって
薬を適切に使う必要が
あると考えています。

なぜならば、
それが認知症患者さんのQOLに
関わってくるからです。


アルツハイマー型認知症の場合、
内部認識と
外部認識の違いにより

その反応として、
怒りが出現し、
怒りが解消されなければ
暴力になることが
多々あります。

自分の身を守るために、
手で振り払う動作なども
暴力として
受け止められる
こともあります。

ただ、その認識の
違いを知ること、
認識の違いを
埋めていくこと、
そのケアを行うことで
暴力は減っていきます。

怒る原因を
作らなければいいのです。

これが、ケアで
暴力が減るということです。

ところが、
レビー小体型認知症や
前頭側頭葉型認知症の場合、

介護者に
原因がないのに怒る、
暴力が出る
ことがあります。

家族や介護者から見たら
なんで怒っているのか
わからない。

なんで暴力を振るうのか
わからないのです。

原因がわからずに
いきなり、
殴ってきたりします。

レビー小体型認知症であれば、
幻覚が原因であったり、
思い込み

(このご飯には
  毒が入っている)

そのようなことが
原因で怒る。

薬のせいで興奮したり。
(薬剤が効きすぎるなど、
 例えばアリセプトは
 興奮系の薬物です)

睡眠障害が原因で
暴れたりします。
夜中に大騒ぎとか
するのです。

前頭側頭型認知症であれば、
前頭葉が
障害されていますから
社会的な行動が
できなくなり

「いたずら(笑)」と
笑いながら
他人をつねったり

「顔がむかつくんだよ」と
言っていきなり
殴ったりします。

(全て経験済みです ;^_^A)

でも、レビー小体型
認知症の暴力も
前頭側頭型認知症の暴力も
相手の認識を
知ったからと言って
軽減することはありません。

(ここでは、
  個別ケアは必要ないと
  言っているわけではなく、
  個別ケアをした上で、
  必要なことがある
  という意味です)

なぜなら、怒りや暴力などが
病気が原因の症状だからです。

病気が原因で
暴力を振るってしまうので
病気が治らない限り、
もしくは
病気が進行して
ステージが変わらない限り
暴力は続きます。

これを止めるために、
適切に薬剤を使うことが
QOLを向上することだと
思っています。

なぜなら、暴力があると
人は離れていきます。

それはそうですよね?!

暴力がある
認知症患者さんを
抱える家族も
ものすごいストレスを
感じています。

デイサービスに
行ってもらいたい。
ショートスティや
入所も考えたい。
でも受け入れ拒否を
されてしまう。

通えても、いつでも職員と
1対1という状態だったり…

でも、それだと
寂しいと思いませんか?

人は社会的な動物なので、
誰かと関わりたい
承認されたい
一緒に何かをしたい
こんな欲求を持っています。

認知症になっても同じです。


認知症になる人は、
寂しい人が多いので
人と交流したいと
思っています。

暴力さえなければ、
仲間に入れる。

暴力さえなければ、
家族も嫌な思いを
することがない。

暴力さえなければ、
社会の中に入っていける。

そうであれば、
適切に薬を使うことは
認知症患者さんの
QOLをあげることに
とても役立ちます。

また、暴力がある
認知症患者さんの
家族や介護者は、
ケアが適切でないから、
暴力が出るのではないか?
という不安を抱えて
いることもあります。

認知症患者さんの
性格が悪くなって
意地悪な気持ちから、
暴力を振るうのではないか?
そう悩んでいる
家族や介護者も多くいます。

私は、認知症に
特化したデイサービスを
経営していく中で
痛感しました。

今、認知症患者さんの
暴力に悩んでいたら
それは、周辺症状なのか?
それとも、病気から
くるものなのか?

それを知ることが、
認知症患者さんのQOLを
あげて、しかも
ケアが楽になる方法です。

家族や、介護者が楽になる方法です。

もし、
「ケアだけでは
 暴力が改善しない」
と悩んでいて、

レビー小体型認知症や
前頭側頭葉型認知症の
ような症状がある、
それで暴力に悩んでいる
ご家族様がいたら
QOLの向上のためには
薬も必要ですよと
助言すると、悩みが
解消するかもしれません。


今回もお読みいただいて
ありがとうございました。


林 もえこ



◆ 林 炎子 (はやし もえこ)
プロフィール

看護師。1975年生まれ。

11歳のときに両親が民間福祉施設
(デイサービス・入居サービス)を開設後、
幼児、障碍児、障害者、高齢者、
認知症高齢者と生活を共にし、
28年間で70名以上の認知症の方の、
初期から寝たきりになるまで深く関わる。

また、看護師としても、
都立病院などで
10年以上の勤務を経験した後、
2011年 地域での認知症高齢者と
家族のサポートをするため、
心理学、ヒプノセラピー、
NLP、医療・看護など、
多くの学びから得た
エッセンスを活用しながら
認知症に特化した
デイサービスを開設。

28年間実践し続けてきた
独自の介護メソッドを分析し、
認知症とその家族のための
ケアを開発、提供している。

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http://www.medisemi.com

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